林遊眠との冒険

落合さんからのメッセージ

縁の下に力持ちを!
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@yochiai



2013年4月、仕事のために東京から大阪に移住し、三週間ほどたった頃、
ふらっと見に行ったBarでの芝居で、
終演後お隣に座っていた方が話しかけてきた。

私が大阪に来たばかりで、とにかくいろいろとこちらの演劇を

見ていこうと思うと話すと、

 「それならショウダウンをぜひ見てください。
    林遊眠という素晴らしい女優がいます。」

と嬉しそうにチラシを渡してくれた。
それが『林遊眠一人芝居二本立 アシュガルドサーガ』であった。
うち一本は再演の『ウィンドミルバレー 最後の三日間』。

「2時間の一人芝居!?
   正気の沙汰とは思えないが、
     彼をこれほど虜にするとは相当のやり手に違いない。」

チラシの中の林遊眠は、いい面構えをしていて、
      「冒険の旅についてこい!」
と、私を誘っていた。

仕事の都合で、見られたのは
もう一本の新作『リストリアの魔導書』であった。
小柄な女優が一人、舞台に現れ、
そして90分間、戦うために
造りだされた戦士ヒダリアとして舞台に立ち続けた。


私が見た回は、どうやら今ひとつの出来だったようだ。
セリフをかんだり、忘れたり。
しかし、彼女はギリギリのところでも踏ん張って、
芝居の世界から逸脱することは無かった。
作品だけでなく、その彼女自身の戦いにも
観客は心奪われていくのであろう。
私がそうであったように。


その後、『錆色の瞳、黄金の海』を経て、再び一人芝居に挑んだのが
『マナナン・マクリルの羅針盤』であった。


この作品が、大阪・東京の二都市公演で、
船場サザンシアターより倍以上広い、
東京のシアター風姿花伝で上演されると聞いたときは、
いささか不安を感じた。

彼女は、あの広い空間を支配できるのか?
しかし、それは杞憂であった。


1年3カ月の時を経て舞台に一人で立った林遊眠は、
もはや「小柄」と思わせない存在感を放っていた。
数多くの登場人物を演じ分けていく姿を見て、
普通に各キャラに役者を配しても、こんな面白さにはならないと確信する、
林遊眠のまさに一人舞台であった。
舞台上で台詞を忘れた彼女に、
登場人物の一人として話しかけたいくらい、私は引き込まれていた。

つづく東京公演も好評を博し、
『マナナン・マクリルの羅針盤』は見事に、池袋演劇祭大賞を受賞する。

そして、大阪での凱旋公演。
林遊眠は、東京公演を経て、さらに大きくなっていて、
『マナナン・マクリルの羅針盤』は、完全に彼女の作品となっていた。
もう私は何も心配することなく、
ただただ、海賊たちとともに、冒険の旅を楽しんだ。

この作品が林遊眠のライフワークとして、
再演を重ねていってほしいと、私は心密かに願っている。
と同時に、
作演出のナツメクニオと林遊眠が、
次はどんな冒険に連れ出してくれるのか、

楽しみでならない。